介護職員から利用者に対する暴力や暴言は、よくニュースになります。

しかし、それ以上に利用者から介護職員へ向けられる暴言や暴力の方が多いのです。

恐らく、暴言や暴力を受けた事がない、という介護職員はほぼいないのではないでしょうか。

特に認知症を患ってる方からの暴言・暴力は多いです。
認知症の症状によるものもあるので、仕方ないと言えば仕方ないのですが、それを受ける側の介護職員は命がけの事もあります。
しかし意外と多いのが、認知症ではない高齢者からの暴言・暴力です。
更にセクハラも多いです。

職員側に問題がある場合もなくはないですが、介護施設などは集団生活にも関わらず自分優先、在宅では出来ないサービスがあるにも関わらず家政婦や奴隷のような扱いをし、自分の思い通りにならないとキレる、という方が多いです。
最近よく言われている「老害」というものを直に感じられるのが介護職員でしょう。
更にセクハラは、男性から女性というイメージがありますが、意外と女性から男性へのセクハラも多いです。

さて、具体的にどんな暴言や暴力が行われていてどんな危険があるのか、介護職員の対応は?、事業者の対応は?、そして高齢者の家族に知っていてほしい事、詳しく説明していきます。


もくじ


利用者(高齢者)からの暴言・暴力

上記にも書いた通り、公になっていないだけで利用者からの暴言・暴力は非常に多いです。
介護職員からの暴言・暴力は絶対やってはいけない事で、少しでも何か起こるとすぐニュースにもなります。
しかし、だからと言って利用者(高齢者)からの暴言・暴力は許されていいものではありません

暴言は日常茶飯事であり、暴力は殴る・蹴るはもちろんありますが、引っ掻く、噛み付くなども多いです。
体力がそこまでない高齢者や車椅子の高齢者などは、引っ掻いたり噛み付いたりする方が多いです。
利用者の家族の中には、やったとしても高齢者だから軽いものでしょ?と思っている方もいるかもしれませんが、血が出るほど引っ掻く方もいます。
傷としては大した事がなくても、そこから感染症などの病気が感染する事もあります。
噛み付く事も、指を噛まれて骨折した介護職員を私は知っています。

暴言・暴力ももちろん多いですが、恐らく1番多いのはセクハラでしょう。
入浴介助や排泄介助などで、入居者が裸になる場面ももちろんありますし、移乗介助で体を密着せざるを得ない場面もあります。
もちろん介護職員は仕事だからやっているだけですが、勘違いする利用者も中にはいます。
また元々下心があり、良い機会だからと手を出してくる利用者もいます。

どうせ認知症で分かっていないからやるんでしょ?と思う方もいますが、認知症の方も多いですが、認知症ではない自立の方、認知症ではなくほぼ寝たきりで手しか動かせない方でもやってきます。

認知症だから、高齢者だから、といって、暴言・暴力・セクハラは許される事ではありません。
介護職員の仕事は介護であって、暴言・暴力・セクハラを受ける事ではありません。
まして、怪我や病気をする為に仕事をしているわけではありません。

しかし、現状では、利用者(高齢者)による暴言・暴力・セクハラが許されている状態なのです。

介護職員の対応

知識不足?

よくこの問題が取り上げられる時に言われるのが、「認知症についての知識不足」です。

しかし、決してそうではありません

そもそも暴言・暴力・セクハラは、認知症の方に限らず、認知症ではない方でも普通にあります。
認知症の勉強をしたとしても、認知症ではない方の暴言・暴力・セクハラは防ぐ事は出来ません。
確かに認知症の症状として、怒りやすくなったりする事もありますが、全ての認知症の方に同じ対処法が通用するかと言えば、通用しません。
人それぞれ対処法が違うので、いくら認知症の勉強をしたとしても、参考程度にしかならないのが実情です。
何よりもその人の性格、同調、何に対しての不満なのかなど、人それぞれ違うので、知識よりもその人を知る事の方が大事です。
しかしその努力をしたところで、100%防げるものではありません。

原因は?

原因は人それぞれなので、暴力をふるう人の数だけ原因はあります
その中でもごく簡単な、誰でも暴言・暴力に発展しやすい原因を挙げていきます。

声かけしない、話を聞かない

例えば何も声をかけられず、いきなり服を脱がせられたらどうでしょうか。
誰でも嫌な思いをすると思います。
とっさの事で手が出てしまう人もいるだろうし、上手く言葉が出なくてつい手が出てしまう人もいると思います。
でも先に「着替えるから服を脱ぎますよ」と声をかけていれば、納得して服を脱ぐ事でしょう。
話を聞かない事も同じです。
例えば職員は着替えをさせたいけど、利用者は先にトイレに行きたい。
利用者の言いたい事も聞かずに強引に着替えをさせたら、利用者はトイレに間に合わないかもしれない。
そんな時は話も聞いてもらえないので、つい手が出てしまうかもしれません。
職員側も全てに対応出来るとは限りませんが、着替えとトイレの順番が逆になるくらいなら十分対応出来るでしょう。
利用者の言いたい事を聞いて対応していれば、暴言・暴力を防げる場面もあるのです。

物忘れや失敗を叱る、出来なくなった事を無理に教える

利用者(高齢者)も人間です。
歳を取るにつれて、体力や機能が衰えて、出来ない事が増えて行くのは当たり前の事です。
まして大人になるにつれて出来る事が増えるのが当たり前なのに、歳を取るにつれて出来なくなっていく。
その事を想像するだけでも耐えられないでしょう。
高齢者は常にその恐怖と戦っているのです。
高齢者だって、物を忘れたくないし、失敗したくないし、出来ない事を人前で無理やりやらされるのは嫌なものでしょう。
それを強要されれば、誰でも怒りたくなるでしょう。
さり気なくフォローしていれば、お互い嫌な思いをせずに物事を進められるのではないでしょうか。

上記の事はごく初歩的な事です。
介護の資格(介護職員初任者研修)を取る時の授業でも出てきます。
上記のような事が直接の原因になる事もあるので、利用者(高齢者)の人権はもちろん、自分を守る為にも徹底するべきだと思います。

しかし、全ての原因がここにあるわけではありません
元々のその人の性格が原因の事もあります。
介護は人対人なので、介護職員との相性が合わない場合もあります。
暴言・暴力・セクハラがあったからといって、全ての原因が介護職員にあるとも限りません

施設管理者やケアマネなどは、このような場合すぐ介護職員を責める人もいますが、まずその事自体が間違っています。
よく自分にはそんな事しない、などと言う管理者やケアマネもいますが、利用者は人を見て暴言・暴力・セクハラをしている人もいます。
事業所のトップにいる管理者と、末端の介護職員では立場も違うので、利用者の態度も違います
トップにいるなら、上の立場にいるなら、少しは自分の部下を信じるべきです。

対処方法

あまりにも暴言が酷い利用者の場合、2人介助になる事もあります。
2人でいれば、どちらかに何かあった時に防ぐ事が出来るからです。

他にもどのような時に暴言・暴力があるのかを観察し、介護職員同士で共有、どのような対応が良いか考え試行してみる。
他の職員の意見を聞けば、1人では見えないところが見えてくる事もあるので、違う視点から物を考え、試してみる事で収まる事もあります。

また利用者の話をよく聞いて不満があれば対応する、性格や好きな物・嫌いな物・趣味など利用者と深く関わり、信頼関係を結ぶ事も大事です。
利用者が嫌な事があれば、例えば排泄介助が嫌であれば、その嫌な排泄介助は手早く終わらせる事も効果がある場合があります。

介護は人対人で行われる為に、人としての相性がある場合もあります。
その場合は対応する介護職員を変える事も、効果がある場合があります。

もし怪我をしてしまったら?

もし利用者の暴力で怪我をしてしまった場合、業務中の負傷となるので、労災が適用されます。
ただし、利用者に認知症の症状などの精神疾患がなく、悪意を持って意図的に攻撃し負傷した場合は、労災ではなく、利用者に傷害罪が適用される事になります。

最近では事業者の労災隠しが問題になっています。
事業者側がその事実を隠したい場合、事業者側が労災申請をしない事があります。
労災申請をするには大量の書類を作成しなくてはいけない為に、管理者や事務職は数か月かかりっきりになってしまいます。
また労働基準監督署は「労災を発生させた事業所」をチェックしていて、件数が多い事業所にはペナルティを課す事があります。
その為に労災である事を隠したがる事業者が多いのです。
もし、労災が適用されると思ったら、事業者が隠そうとしたら、労働基準監督署に相談してください。

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事業所(介護施設など)の対応

職員を信用する

事業所としての対応となると、主に管理者が対応する事になります。
職員の間で「もう対応は無理だ」となれば、ケアマネや管理者に話が行き、上層部での対応となります。

まず、介護職員がこのような状態になった時に、いつでも何でも気軽に話せる管理者でいる事が大事です。
信用出来ない、役に立たない管理者では、誰も話そうとしません。
そして大事になるのです。

介護職員の中には、自分を守ろうと嘘をつく職員がいるかもしれません。
それでも信用している、介護職員を大事にしているという姿勢でいる事が大事です。
介護職員も人間なので、信頼出来る管理者なら正直に話します。

利用者(高齢者)の家族に話す

管理者・介護職員間で話し合った結果、家族の許可が必要な場面や、報告しなければいけない場面が出て来ます。
この場合、管理者から家族へ話す事になりますが、暴言・暴力・セクハラがある事に納得しない家族もいます。
「うちの人はそんな事をする人ではない」という家族もいる事でしょう。
しかし、家族に見せる顔と、介護職員に見せる顔は違う、という事を納得させなければいけません。

管理者が守るのは、利用者ではなく、介護職員です。
介護職員がいなくては、事業所として成り立ちません。
その事を理解していない管理者が多いのです。
介護職員を大事にすれば、ちゃんと良い仕事をしてくれます。
それが利用者を大事にする事に繋がります

身体拘束・薬の使用も視野に入れる

色々対応してみても無理な場合は、精神科の受診や薬の使用、身体拘束も視野に入れましょう

暴力は介護職員が怪我をする事ももちろんありますが、反対に暴力をふるう利用者自身が怪我をする事もあります。
また暴言を吐く場合は、利用者が興奮状態にあると言う事です。
このような状態では、利用者が穏やかに暮らしているとは言えません。
身体拘束や適度な薬の使用は、利用者自身が怪我もなく穏やかに過ごす事になり得るのです
もちろん、介護職員も安心して働く事が出来ます。

家族の対応

事業者の言う事を信じる

事業所は利用者がいる事で、経営が成り立っています。
むやみに介護施設を退去、サービスの利用停止などは行いません。

また、家族への態度と、介護職員への態度が違う事を理解しましょう。

この事を踏まえ、事業者から言われるという事は、かなり暴言・暴力・セクハラが酷く、その為に現場の介護職員がかなり困り業務が成り立っていない、という事を理解しましょう。
普通ならば仕事が増えるだけなので、わざわざ無意味に呼び出したりはしません。
家族ならば、利用者本人に家族からの働きかけがあれば、家族の言う事なら素直に応じる事もあるのです。

時には身体拘束や薬の使用も必要

事業所側も出来るだけ身体拘束や薬の使用は避けたいものです。
それでも、この話が出るという事は、最終手段であるという事を理解しましょう。
ここまで家族に話すという事は、表に出ていないだけで、暴言・暴力・セクハラの被害者が何人も出ている、という事です。
自分の身内が、既に加害者になっているという事です

まず精神科の受診を勧められる事もあります。
暴言・暴力が出るという事は興奮状態にあるので、興奮を抑えるような薬の使用を勧められる事もあります。
また、薬自体を拒否する、薬では効果がない場合などは、家族が同意書にサインをすれば身体拘束が行える場合があります。
利用者自身が怪我もなく、穏やかに過ごす為には必要な事もあるのです。

介護施設の場合、施設には他の利用者がいる事も考えましょう。
施設は集団生活です。
1人の利用者にかかりっきりになる事も出来ないし、他の利用者へ危害が及ぶ事もあり得るのです。
もし、他の利用者が暴言・暴力が酷い場合、どう思いますか?

最終的には契約解除に

家族が信用しない場合、身体拘束の拒否や薬の拒否など、家族の理解を得られない場合は、契約解除になる事もあります。
介護施設の場合は退去、在宅サービスの場合はサービスの利用停止です。

介護施設の場合、施設は集団生活なので、介護職員への被害や他入居者への被害を考えると、集団生活に馴染まない、この施設では対応出来ないと判断され、退去になる事もあります。
退去理由によっては、他の介護施設でも受け入れを拒否される事もあります。
入居出来たとしても、どんな人でも受け入れるような施設で、もっと暴言・暴力が酷い利用者がいる施設の可能性もあります。

在宅サービスの場合は、介護職員の身を守る為、時間で動いている為に次の利用者への影響などを考え、サービスの利用を停止する場合があります。
その場合、他の事業所を紹介してくれますが、同じ状態が続く場合、同じ事の繰り返しです。
在宅サービスをたらい回しされている利用者も見た事があります。

逆のパターンも

家で家族への暴言・暴力がある場合でも、介護施設へ入居する事で落ち着く事もあります。
家族だから言いやすい、外には良い顔をしたいなどの場合、介護施設へ入居する事で環境も変わりますし、周りはみんな他人なので、落ち着く場合もあります。

家での暴言・暴力に困っていたら、思い切って介護施設へ入居する事も、1つの解決方法だったりします。

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